【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする
【自宅VPN構築】(その4) 無線LANルータにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)ポート設定をする

こんにちは!しらかば堂(@shirakabado)です。

VPNルータにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする手順について詳しく紹介します。

 

TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

 

解決できること

VPNルータ TL-R600VPN(注1)に対し、PPTP、L2TP/IPSec等のVPN種別に応じたVPN設定手順が確認できます。

(注1) TP-Link Safestream VPN ルーター TL-R600VPN (Version:4.03)

読んでほしい方

VPNルータ TL-R600VPNに対し、PPTP、L2TP/IPSec等のVPN種別に応じたVPN設定手順を確認したいかた。またこれらを過去に試みたが何らかの理由でうまくつながらずに悩んでいる方。

TL-R600VPNのVPN設定手順概要

VPNルータ TL-R600VPN の VPN設定は大きくまとめると

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする
  • VPNルータのLAN側ポート側のサブネット「192.168.zzz.x」でどういったIPアドレス範囲をVPN用として割り当てるかというVPN IPプールの設定
  • PPTP、L2TP/IPSec のそれぞれのプロトコル毎の個別パラメータの設定

となります。それらについて順に紹介します。

 

VPN IPプール設定

まずVPN IPプールを定義します。VPN IPプールはPPTP、L2TP/IPSec の設定に先立ちVPNルータのLAN側ポート側のサブネット「192.168.zzz.x」の何番から何番までをVPN用として割り当てるかという定義であり、その定義に名前を付けて続くVPN設定作業で参照します。

具体的にはVPNルータ TL-R600VPN にログインしてから

Preference > VPN IP Pool

を選択すると、次の画面が出るので、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

右上の+ボタンを押して出てくる画面で

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

以下のように「IP Pool Name」「Starting IP Address」「Ending IP Address」を指定し、OKボタンを押します(注2)

フィールド名 記入値例 説明
IP Pool Name

vpn_ip_pool

以下で指定する「Starting IP Address」~「Ending IP Address」に対して付与される任意の名称。入力は英数字と’_’のみ入力可能です。
Starting IP Address

192.168.0.64

VPN IP Poolとして割り当てる最初のアドレス。この記事内では「192.168.zzz.x」をデフォルトのサブネット「192.168.0.x」で使用しています。
Ending IP Address

192.168.0.67

VPN IP Poolとして割り当てたい最後のアドレス

(注2) このVPNルータ TL-R600VPN ではLAN側ポートにDHCPでIPアドレスを動的に割り当てる機能も持っているので、静的に設定されているIPアドレス、このDHCPの割り当て範囲と、この「VPN IP Pool」割り当て範囲がだぶらないよう設定することが必要です。また他の設定で利用されている「IP Pool Name」は削除できません。

すると、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

のように指定した「IP Pool Name」に対して「192.168.0.64」~「192.168.0.67」が設定されていることが確認できます。

PPTP個別設定

PPTP 個別部は以下のように設定します。

PPTP共通設定

VPNルータ TL-R600VPN にログインしてから

VPN > PPTP > Global Config

を選択すると、次の画面が出ますので、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

必要に応じて「PPTP Hello Interval」「PPP Hello Interval」「NetBIOS Passthrough」を変更し、「Save」ボタンを押します。

フィールド名 記入値例 説明
PPTP Hello Interval

600

PPTPキープアライブ機能の実現に向け、VPN対向装置にPPTP Heloパケットを送付する時間間隔を(60-1000)の範囲で秒で指定します。
PPP Hello Interval

20

PPPキープアライブ機能の実現に向け、VPN対向装置にPPP Heloパケットを送付する時間間隔を(0-120)の範囲で秒で指定します(0は送信しないという意味)。
NetBIOS Passthrough

Windowsネットワークの基本機能として、ファイル共有やプリンタ共有などの目的で使用されるNetBIOSパケットのを通過機能を有効にするか否かを指定します。自分はNetBIOSを使わないのでOFFとしています。

PPTPサーバ設定

VPNルータ TL-R600VPN にログインしてから

VPN > PPTP > PPTP Server

を選択すると、次の画面が出るので、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

右上の+ボタンを押して出てくる画面で

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

入力項目「WAN」「MPPE Encryption」「Status」を以下のように入力し、「OK」ボタンを押します。

フィールド名 記入値例 説明
WAN

WAN1

PPTP トンネル設定を行うWANポートを指定します(注3)
MPPE Encryption

Encrypted

PPTP トンネルに対してMPPEによる暗号化を行うか否かを設定します (注4)
Status

この PPTP トンネルを有効/無効を設定します(注6)


すると、以下のような画面となり、PPTP Server 設定ができたことが確認できます。

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

(注3)  次の記事で、このVPNルータ TL-R600VPNのWANポート数を1に設定しているので「WAN1」のみが表示されます。

【自宅VPN構築】(その3) TL-R600VPNを初期設定し、無線LANルータに接続する

(注4)「MPPE Encryption」を「Encrypted」にすると、このPPTPはMPPE(注5) による暗号化モードになります。

(注5) MPPE(Microsoft Point-To-Point Encryption) : 暗号アルゴリズムとして 鍵長 40bit または 128bit RC4 を採用し、また暗号鍵生成のために認証プロトコルの MS-CHAP または MS-CHAPv2 と合わせて使用するプロトコルです。

(注6) この「status」で有効/無効を指定するチェックがある意味は、運用上の理由でこのPPTPサーバ機能の設定を残したまま、PPTPトンネル機能を一時停止することができるようにできるということです。

PPTPユーザー設定 

VPNルータ TL-R600VPN にログインしてから

VPN > Users

を選択すると、次の画面が出るので、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

右上の+ボタンを押すと

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

のような画面となるので「Account Name」「Password」「Protocol」「Local IP Address」「IP Address Pool」「DNS Address」「Network Mode」「Max Connections」を記入しOKボタンを押すと以下のような画面となります。これでPPTP Server 設定が確認できます。

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする
フィールド名 記入値例 説明
Account Name

new_user

このPPTPトンネルを利用するユーザーのアカウント名を指定します(注7)
Password

SymA3ozG

Account Name で指定したユーザーのパスワード(注8)
Protocol

PPTP

このVPNトンネルが使用するプロトコル「PPTP」を指定します。
Local IP Address

192.168.0.1

このL2TPトンネルのIPアドレス、つまりTL-R600VPNのLAN側のIPアドレスを指定します。

IP Address Pool

vpn_ip_pool

VPN IPプール設定で定義したIPプールの名前を指定します。

DNS Address

192.168.yyy.1

VPNユーザに対して割り当てるDNSアドレス(注9)
Network Mode

Client-to-LAN

このこのPPTPトンネルをどのモードで動かすかを指定します「Client-to-LAN」はこのVPNのクライアントが単一のホスト「LAN-to-LAN」はVPNのクライアントがVPNゲートウエイの場合に指定します。
Max Connections

3

このVPNトンネルがサポートする最大コネクション数を指定します。

(注7) このAccount NameはVPN種別毎に作成しますが同一のAccount Name、PasswordでPPTP、L2TP/IPSecの両方を定義すれば、スマホでVPNを起動の際にPPTP、L2TP/IPSecを選択後、同一のAccount NamePasswordを入力することで利用時の使い勝手を向上させることができます。 

(注8)このパスワードはこの記事を書いているときにたまたまスマホの「Pasword Generator」というアプリで自動生成したパスワードの例で、実際のパスキーはではありません。

(注9) 次の記事で確認した無線LANルータのLAN側のIPアドレスを設定します。

【自宅VPN構築】(その1) VPN導入に必要な条件を確認する

L2TP/IPSec 個別設定

 L2TP / IPSec 個別部分は以下のように設定します。

L2TP共通設定

VPNルータ TL-R600VPN にログインしてから

VPN > L2TP > Global Config

を選択すると、次の画面が出ますので、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

必要に応じて「L2TP Hello Interval」「PPP Hello Interval」「NetBIOS Passthrough」を変更し、「Save」ボタンを押します。

フィールド名 記入値例 説明
L2TP Hello Interval

60

L2TPキープアライブ機能の実現に向け、VPN対向装置にL2TP Heloパケットを送付する時間間隔を(60-1000)の範囲で秒で指定します。
PPP Hello Interval

20

PPPキープアライブ機能の実現に向け、VPN対向装置にPPP Heloパケットを送付する時間間隔を(0-120)の範囲で秒で指定します(0は送信しないという意味)。
NetBIOS Passthrough

Windowsネットワークの基本機能として、ファイル共有やプリンタ共有などの目的で使用されるNetBIOSパケットのを通過機能を有効にするか否かを指定します。自分はNetBIOSを使わないのでOFFとしています。

L2TPサーバ設定

VPNルータ TL-R600VPN にログインしてから

VPN > L2TP > L2TP Server

を選択すると、次の画面が出るので、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

右上の+ボタンを押して出てくる画面で

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

入力項目「WAN」「IPSec Encryption」「Pre-shared Key」「Status」を以下のように入力し、「OK」ボタンを押します。

フィールド名 記入値例 説明
WAN

WAN1

L2TPトンネル設定を行うWANポートを指定します(注10)
IPSec Encryption

Encrypted

L2TPトンネルに対してIPSecによる暗号化を行うか否かを設定します(注11)
Pre-shared Key

,Jp_=G&+n>r3Q%odSx]P#B`gNs?.@[Cb~5u)a:wK^HR8MVyZ'<ehF-{\X$*7iY”9E64;ft2!DqALTc/zWmj}(|vUk”(bgeDzB}42Yu_wo;pK>%Br5J&~)[,X\ku`(\Z:

IPSecのIKE認証で使用するPre-shared Key(PSK)を最大128文字の英数字記号を用いて設定します(注12)
Status

このL2TPトンネルを有効/無効を設定します(注13)


すると、以下のような画面となり、L2TP Server 設定ができたことが確認できます。

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

 

(注10)  【自宅VPN構築】(その3) TL-R600VPNを初期設定し、無線LANルータに接続するでで、このVPNルータ TL-R600VPNのWANポート数を1に設定しているので「WAN1」のみが表示されます。

(注11)「IPSec Encryption」を「Encrypted」にすると、このL2TPはIPSecによる暗号化モードになり、「Pre-shared Key(PSK)」がIPSecの事前共有キーとして使用されます。

(注12) このパスキーはこの記事を書いているときにたまたまスマホの「Pasword Generator」というアプリで自動生成した128桁のパスキーの例で、実際のパスキーはではありません。。

(注13) この「status」で有効/無効を指定するチェックがある意味は、運用上の理由でこのL2TPサーバ機能の設定を残したまま、L2TPトンネル機能を一時停止することができるようにできるということです。

L2TPユーザー設定

VPNルータ TL-R600VPN にログインしてから

VPN > Users

を選択すると、次の画面が出るので、

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

右上の+ボタンを押すと

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

このような画面となるので「Account Name」「Password」「Protocol」「Local IP Address」「IP Address Pool」「DNS Address」「Network Mode」「Max Connections」を記入しOKボタンを押すと以下のような画面となります。これで L2TP Users 設定が確認できます。

【自宅VPN構築】(その5) TL-R600VPNにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

 

フィールド名 記入値例 説明
Account Name

new_user

このL2TPトンネルを利用するユーザーのアカウント名を指定します(注14)
Password

SymA3ozG

Account Name で指定したユーザーのパスワード(注15)
Protocol

L2TP

このVPNトンネルが使用するプロトコル「L2TP」を指定します。
Local IP Address

192.168.0.1

このL2TPトンネルのIPアドレス、つまりTL-R600VPNのLAN側のIPアドレスを指定します。

IP Address Pool

vpn_ip_pool

VPN IPプールの設定で定義したIPプールの名前を指定します。

DNS Address

219.110.xxx.xxx

VPNユーザに対して割り当てるDNSアドレス(注16)
Network Mode

Client-to-LAN

このこのL2TPトンネルをどのモードで動かすかを指定します「Client-to-LAN」はこのVPNのクライアントが単一のホスト「LAN-to-LAN」はVPNのクライアントがVPNゲートウエイの場合に指定します。
Max Connections

2

このVPNトンネルがサポートする最大コネクション数を指定します。

(注14) このAccount NameはVPN種別毎に作成しますが、同一のAccount Name、PasswordでPPTP、L2TP/IPSecの両方を定義すれば、スマホでVPNを起動の際にPPTP、L2TP/IPSecを選択後、同一のAccount NamePasswordを入力することで利用時の使い勝手を向上させることができます。 

(注15)このパスワードはこの記事を書いているときにたまたまスマホの「Pasword Generator」というアプリで自動生成したパスワードの例で、実際のパスキーはではありません。

(注16) 次の記事で確認した無線LANルータのLAN側のIPアドレスを設定します。

【自宅VPN構築】(その1) VPN導入に必要な条件を確認する

以上で、VPNルータ TL-R600VPN -VPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定作業は終了です。

次の記事ではAndroidスマホにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定する手順について紹介してきます。興味のあるかたはどうぞ。

【自宅VPN構築】(その6) AndroidスマホにVPN(PPTP、L2TP/IPSec)設定をする

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